リボーンに呼び出されて来て見た喫茶店。リボーンが喫茶店に呼び出すなんて珍しいから驚いていたら、この場所に来てもっと驚いた。っていうか、正直今すぐ帰りたい。



「(な、なんで、ここにヒバリさんがいるのー!!)」



「あ、10代目!」

「はは、やっと来たな!」

「いやいや、二人とも何平然としてるの?!特に獄寺くん!」



ヒバリさんがいるというのに、代わらない二人の態度。それも同じ席に座っているにも関わらず、誰もつっこまないなんて可笑しすぎるだろ!
山本なら分かるけど、獄寺くんがヒバリさんと相席してて何も言わないなんて可笑しいに決まっている。どうやらダイナマイトも取り出してないみたいだし、一体これどうなってんの?!そう思いながら慌てふためいていれば、この現状をつくりだしたと思われるリボーンが俺の目の前に現れた。


「やっと来たか駄目ツナ」

「ちょ、リボーン!これはどういうことなんだよ!!」


しゃがみこんで、今の現状の説明を求める。不機嫌そうな雲雀さんはどこか違うところに視線をやりながらも、ちゃんと大人しく椅子に座っている。


「今日ここに京子とハルとを呼んだんだ。」

「それがこの現状とどう関係あるんだよ!!……って、その3人も呼んだの?!」

「呼んだと言っても、その3人は俺らがここにいることは知らないぞ」

「知らないぞ、じゃないだろ!一体何考えてるんだよ!」


「女達の本音をしっかりと聞くこともマフィアに必要だからな」



絶 対 に 必 要 じ ゃ な い か ら !



そうは思ったものの、リボーンに何を言っても無駄ということはもう分かりきったことで、俺は何も言わずハァとため息をついた。「それで雲雀さんがなんでいるの?」先ほどよりも小さな声で言えば、リボーンはニヤリと嫌な笑みをつくり
「たまには守護者とボスの交流も必要だろ」なんて言っている。

でも、ヒバリさんにそんなこと言っても絶対にくるわけがない。何を言ってヒバリさんをここまで連れてきたんだろうと、思っていれば「ヒバリの奴は後で骸と戦わせてやると言ったんだぞ」……あ、そうなんだ。
ツッコミたいのは山々だけど、俺には被害ないみたいだし、良いかな……。

きっと獄寺くんがヒバリさんがいるのに、何も言わないのもきっとリボーンが獄寺くんに何か言ったからなんだろうな。そうなじゃないと、あの獄寺くんがヒバリさんと同じ席にいて何も言わないなんて絶対におかしいし、ダイナマイトを取り出してない時点で違和感が凄くある。


まぁ、獄寺くんがこれだけ大人しくしてくれてるんだから、大丈夫か。そう思い、俺は恐る恐る席についた。


「クフフ、すみません遅れてしまいました」

「って、骸ー?!」


「おや、何をそこまで驚く必要があるんです?僕はここに今日呼ばれて来たんですよ?」


その言葉に俺はリボーンの方を見れば、リボーンは特に気にした様子もなく店員にエスプレッソを注文していた。あぁ、呼んだのはお前なんだな。もしかしなくてもヒバリさんと一触即発なんじゃないかと不安になったけど、ヒバリさんは動じた様子もなく、ただ静かにコーヒーに口をつけていた。
そのことに安心を覚えながら、息を吐いていればカップを置いたヒバリさんが
「楽しみは後でだね」とボソッと呟いていた(恐っ……!





そんなこんなで注文してたりしていれば、喫茶店に京子ちゃんとハルと、そしてが入ってきた。俺達は端っこの玄関側からは死角になるようなところにいるからバレたりすることはないと思うけど、少しだけ不安だった。
いや、不安なのはこのメンバーだからなのかもしれないけど。
って言うかこのメンバーのせいに決まっているからなんだけど。


「あ、やっと来たみたいですよ10代目!」
「うん、そうみたいだね……」


意外と近くに座ったたちを盗み見ながら、聞き耳をたてる。あぁ、なんだか、あの三人に悪い気がしてならないんだけど……でも、どうせリボーンに言ったって、帰られてもわえるわけがない。
だけど、やっぱり人の話を内緒で聞くなんて罪悪感が湧き上がってくる。



「やっぱり、ここのケーキは美味しいです〜」

「うん!すっごく美味しいね!」


だけど聞こえてくる京子ちゃんやハルの声に、しょうがないか、と諦めた。それぞれ他の人たちも気になるのか、たちのほうに注目している。獄寺くんも、見ている限り興味なさそうだけど、きっと聞き耳を立ててるんだろう。まぁ、獄寺くんの場合は異常に耳が良いから聞き耳を立てなくても、聞こえてくるかもしれないけど。
それにしても、改めてみても変なメンバーだ。

ヒバリさんがいるから、店員も怯えてる様子だし、周りの女の子達は獄寺くんや山本や不本意だけど骸のほう見てるみたいだし。



「(帰りたいな……)」



このメンバーで喫茶店なんて、俺だけ場違いだよ。そんな嘆きは誰にも聞かれることなく、俺はため息を一つ零してたち会話に再び聞き耳を立てていた。聞こえてくる会話は普通の会話で、別に聞いても意味がないような気がする。
だけど、「そういえば、」と少しだけ真剣なハルの声が聞こえてきて、静かな雰囲気が俺達のテーブルを包んだ。なんなんだよ、この空気。


ちゃんは、あの恐い人とお付き合いしているんですか?!」



……ハルってば、何言っちゃってんのー!?



さすがに、そんなこと叫べるわけもなく俺は心の中でそう叫んでいた。それも恐い人って……俺はちらりと視線をうつる。
まさか、ハルの言ってる人がヒバリさんなわけないよな!ま、ま、まさかそんなことあるわけな、ないよね?!一人あたふたと心の中でしつつもハルの言葉にさらに聞き耳を立てながら少し落ち着こうと思い目の前においてあるオレンジジュースに口をつけた。


「もしかして、あの恐い人って雲雀さんのこと?」

「はひ、そうです!」


「「ブッ」」


「10代目、大丈夫ですか?!」
「あ、うん、だ、大丈夫」


まさか、本当にヒバリさんだっとは!ハルお前、なんてこと言ってんだよ!!思わず飲んでいたオレンジジュースを噴出してしまった俺は、獄寺くんからおしぼりを受け取った。
確かに、はヒバリさんと仲が良……い、と言うか(そんな事言ったらに怒られそうだけど)度々雲雀さんと一緒にいるところを見かけるけれどまさかあの二人が付き合っているわけがない。
ついこの前だってが風紀委員のこと(イコール雲雀さんの絶対王政)に嘆いていたばかりだというのに!


口元を拭きながらヒバリさんに視線をやれば、ヒバリさんはカップを持ったまま、動かなくなっていた。瞬きさえしていない。まさか、自分とがそんな風に思われているなんて思いもしなかったんだろう。
いや、まぁ、だけど、実のところを言うとそう思っている人たちは他にもいる。近隣の不良たちとかに勘違いされた、なんてが言っていたこともあったり(あの時のは本当に哀れとしか言いようがなかった)クリスマスに雲雀さんの彼女と勘違いされたという話も聞いたことがある。そして折角のクリスマスに倉庫に閉じ込められたと言うことも(イベント部屋参照)



「いやいやいやいや、それ絶対にありえないから!!ねっ!絶対違うから。マジで本気で違うから!!」

「え〜そうだったんですか!仲が良さそうに見えたんでてっきりそうかと、思ったんですが」


の必死の言葉が聞こえてくる。そんなに必死に否定しなくても、と一瞬思ったけれど相手は雲雀さん。否定しておかないと雲雀さんも雲雀さんで怒りそうだ。
何て言ったって雲雀さんは群れるには嫌いだし、とそこまで考えて俺はサァと血の気が引くのを感じた。

今、雲雀さんはここにいるんだ。それを思い出し、俺は恐る恐る雲雀さんのほうに視線をやった。



「……不愉快だ」



眉をひそめて、不機嫌そうに雲雀さんが呟く。あぁぁぁ、良かったぁぁぁ!!この一言だけですんで本当に良かった。もしかしたら、あんな勘違いされたら雲雀さんのことだからハルかに咬み殺すなんて言ってトンファーを取り出すんじゃないかと内心ヒヤヒヤした。



「本当、不愉快ですよ。は僕のもの「私は、獄寺くんと仲が良いなって思ってたんだけどな」


「「ブッ」」



あぁぁぁあぁ、獄寺くんーーー?!




なんだか骸の今にも鳥肌が立ちそうな言葉が聞こえたような気がしないこともないけど、多分勘違いってことにしておいて、俺は飲んでいたコーヒーを噴出した獄寺くんにおしぼりをさしだした。
獄寺くんは、「な、な」と声にもならない様子で目を見開き、顔を真っ赤にして固まっている。と言えば、で「いやいや、仲良くないから。あいつとは言い合いしかしてないからね?!」と先ほどの雲雀さんの時と同じように必死に否定の言葉を口にしていた。



「はは、獄寺がこのぐらいで照れるとはな!」

「な、な、な、て、て、テメー!」


「獄寺くん、言えてないよ!」



そして、山本要らないこと言わないで!ここでダイナマイトなんて投げられたら誰が困ると思ってんだよ?!俺だよ!と心で言いながら、さすが番外編。どうやら山本は黒属性なのか、とため息を零した。


「だけど、ちゃんは山本さんとも仲が良いですよね」

「確かに言われてみればそうかも」

「えぇ、そうかな……まぁ、話すと言ったら話すけど」


次は山本らしい。女の子の会話と言うのは標的がすぐにかわるみたいだ。


「でも、山本はみんなと仲が良いしね。私だけ仲が良いってわけじゃないから」


の言葉に、俺は心の中で賛同した。山本は確かに誰とでもすぐに仲良くなれるし、クラスでも人気者だ。
でも、一番仲が良い女の子と言ったら多分なんじゃないかと思う。もちろんそれは、獄寺くんにも、そして雲雀さんにも同じく。

特に獄寺くんと雲雀さんは女の子と話しているところなんて見たことがないから分かりやすいけど、一番近くにいるのはで間違いない……そんなことに言ったら思いっきり嫌そうな顔をすることは間違いないと思うけど。でも、山本や獄寺くんや雲雀さんと普通に話せるというのは女の子では凄いと思う。


山本や獄寺くんと一緒にいる時、女の子に二人が話しかけられることがあるけれどその時はどの子も、顔を赤らめて緊張してるように見える。
それに反してはそっけない。それもまたこの三人の一番近くに入れる理由なんだと思う。



「僕の名前が出ないんですけど」



……ボソボソと呟く骸はこのさい無視しておく。そして視線をたちのほうにやれば、いつの間にかそこにはクロームがいた。クロームの声は小さくてこちらまで聞こえない。けれど、その後のの反応を見ればクロームが何を言ったのかなんてすぐに想像できた。



「いや、本当だから、ね!本気で違うから!!それも、骸さんなんて……!鳥肌がとまらない!」



これはもしかしなくても、今度は骸と勘違いされたんだろう。あそこまでが否定するくらいだから本気で骸と勘違いされたのが嫌だったみたいだ。先ほどよりもあからさまに否定の仕方が酷い。


どれだけのことにしたんだよ、骸。

「結局、ちゃんは誰にラブなんですか?」ハルの言葉にこの席にいた全員が顔をあげた。何だかんだ言いつつも、みんなのことが気になるらしい。



「はひ!も、も、もしやツナさんですか?!」


突然でた自分の名前にドキリとした。それがなんでかなんて分からないけれど、少しだけ体が強張るのを感じる。別に自分の名前がでただけなのに、ただそれだけのことなのに緊張するなんて可笑しい。心臓がドキドキと脈打つのを感じながら、俺はの言葉を待った。


「いや、その、ツナは友達だから!ね!」

10代目を友達呼ばわりとは、ずうずうしい


「ちょ、獄寺くん?!落ち着いて!」



それにが俺の事を友達として見ていてくれたのは純粋に嬉しかった。いつも迷惑かけてばかりで、そもそもがリボーンに目をつけられたのは俺のせいでもあった。それなのに、俺の事を友達として見ていてくれたなんて。

俺はそう思い、僅かに感じた違和感に気づくことはなかった。


「じゃあ、ちゃんのタイプの人は?」

「私のタイプの人は普通の人だよ」


の言葉にこの中じゃ、自分が一番当てはまるんじゃないかと一瞬思いながら、目の前を見れば先ほどまでここにいたはずの骸がいない。まさか、と思い視線をやればの直ぐ隣にたっている骸の姿。
お前、何やってんだよ!!俺達がここに来てることがバレるだろ?!と思い、席を立てばこちらへと集まる視線。

あぁ、もう俺も何やってんだよ、俺までいることがバレてしまったじゃないか、とため息を一つ零すことしかできなかった。



「クフフ、それならのタイプはまさに僕ですね!」




って、骸さんいつの間にぃぃぃ?!
(ちょ、骸!!何やってんだよ!)
(あれ、ツナくん?)
(はひ?!獄寺さんも山本さんもどうしたんですか?!)
(群れてると咬み殺すよ)
(雲雀さんも、なんでいるんですかー?!)



(2008・09・25)

逆ハーに挑戦して失敗した感がいなめない。