うわあぁっぁ、今の状況ってコレって絶対絶命って言うんじゃないんですか?!ちょ、えぇぇぇ、だ、だれかぁぁぁ?!日本さんについてきたと思ったら直ぐコレだ!なんだ、コレ!いじめか!いじめなのか!!!あぁぁぁ、もう本当どうしたらよいわけっ?!
助けて、にほんさぁぁぁぁぁん!!なんて相手がどんなに変態だとしても日本(国名)との友好関係のことを考えると叫べるわけないからっ!いや、まぁ、日本さんはいつもこの人に刀むけたりしてるけどさー!


「おっ、
「……フランスさん、どーもです」

なんて、私の心の声はもちろん相手に伝わるわけなく、目の前には一見爽やかな笑顔を浮かべたフランスさんがいらっしゃった。

えぇ正直に言わせていただきますと半分…いえ、四分の一くらいは私の心の声が伝わればよいなとは思ったりもしましたけど。正直に言わせてもらって、フランスさんは確かに悪い人ではない。国の人たちの中でも年上の方だし(中国さんや日本さんと比べること無かれ)落ち着いた大人の男性と見えないこともない。

センスだってよいし、どこぞやの人みたいに殺人的料理ではなくちゃんとした美味しい料理を作ることができる。



(だけど、誰彼構わずセクハラするのは無しだって…!)



私が実際セクハラをされたことはない……とは、まぁ、言い切れるような言い切れないような微妙な感じなんだが一回イギリスさんがフランスさんの獲物になっているところを見て2,3歩私は後ずさってしまった。そのときの私の気持ちは察していただきたい。

フランスさんは日本さん曰くの両刀、つまりは男でも女でも大丈夫な人らしい。
私としてはそんなことはどうでも良い。好きな人が異性であれ、同姓であれ好きだという気持ちには変わりが無いのだから。

だけども、セクハラは駄目だと思う。って言うか、犯罪だろ。

あの時、イギリスさんへと周りのまるでバラの花を咲かせながら近づいていたフランスさん。まだちゃんとした格好であったなら、私はなにもつっこまなかったはず(……いや、つっこんだかもしれないけど)しかし、フランスさんは私が思わず2,3歩後ずらずにはいられない格好をしてあった。

まさか、まさか、裸だとは誰が想像しただろうか。

もちろん、大切なところにはバラの花がオプションでついていた、ということは一応言っておく。


あの時は心の底からイギリスさんに同情した。でも、イギリスさんを助けて私まで被害を被るのはお断りだったので遠めに見ているだけではあったが。



「(一番、始めにフランスさんと遭遇してしまったときにはイギリスさんに助けてもらったのになぁ……)」



なんだか申し訳たまらない……と、今はそんなことを考えている場合ではなかった。今は早くこの場から離れる(=フランスさんと離れる)方法を考えなくてはならないんだった。
フランスさんもなんだかんだ言いつつもよい人だから大丈夫だと思いたいけれど、日本さんからはフランスさんと一緒になったときは問答無用で逃げなさいといわれたし(この時の日本さんの目は色々な意味で恐かった)逃げたほうがよいと思う。

もうそろそろ国の人たちが集まって会議も始まるであろうからこのまま一緒にいても良いとは思ったりもするけれど、それじゃあ後で日本さんから説教の一つや二つされそうだ。
それに他の人からも色々小言を言われそうで面倒くさい。


折角日本さんに会議につれてきてもらったというのに、その思い出が説教や小言なんて嫌すぎる。もっと良い思い出を残したい。



「えっと……じゃあ、私はそろそろ…」



視線をあちらこちらへと泳がせながら、告げる。そろそろ、とか言いつつもまだフランスさんとであって30秒くらいしかたっていない。私の心中では10分は確実に時間が経っていそうだったけれどまだ全然時間は経っていなかったらしい。


「そんなつれないこというなって、お兄さん寂しいぞ☆」
「(うっぜぇぇぇ!!)」


あまりのうざったい一言に軽蔑の眼差しをフランスさんに送ってしまう。この人、すっごくうざい。セクハラされる云々以前の問題だ。フランスさんも私からの視線の意図に気づいたのか、少しだけ眉を下げると視線を下げる。

「さすがに、そんな目で見られたらお兄さん悲しいから、さ」哀愁漂う姿に同情してしまいそうになる、が、自業自得、だと思うので視線は柔らかいものに変えたが一歩後ろへとさがりフランスさんから遠ざかった。
鳥肌が立っていたということも補足で付け加えておかせてもらう。

しかし、私のその反応にフランスさんは焦ったように着ていたスーツのポケットを探り「あ、ほら、ほらこれあげるから!」と手をこちらへとむける。

そこにあるのは色とりどりの飴玉。



「……」



一体、私何歳に思われてるんでしょうね!!私は幼稚園児か何かですか!飴玉くらいで機嫌を治るように思われているとしたら心外である。
私ははっきり言わせてもらって飴玉で人についていくような人間ではない。断じて!……まぁ、差し出されたからには頂かないと申し訳ないような気もしないこともないのでもらっておくことにはしておくが。
だけど、断じて飴玉でついていくような子供ではないことを断言しておく。もらえるものはもらっておけ、だ。



「…ありがとうございます」
「うん、やっぱり女の子は素直が一
フランス、おっまえぇぇぇぇえっ!!



きっとフランスさんは女の子は素直が一番だといいたかったんだろう。惜しくもそれは突然フランスさんへと飛び蹴りを食らわせたイギリスさんのせいで最後まで言われることはなかったが。
とりあえず、言えることは唯一つ。

見事な飛び蹴りでしたイギリスさん。心の中では拍手喝采でございます。

しかし、まぁ、今拍手喝采なんて使用ものなら私の人間性を疑われそうなので心の中で、とさせていただきますが(人が蹴られているところを見て拍手なんて、人として問題ありだろう)
ずずー、と派手な音をたてて地面に転がったフランスさんを横目に、フランスさんにかわり目の前にいたイギリスさんが眉間に皺をよせて私の肩をつかみ「大丈夫か?何もされてないか?」と言いながら肩をゆさぶる。

イギリスさん、フランスさんを見事に無視。

蹴飛ばされたフランスさんは見事イギリスさんの靴がめり込んだ赤くなった頬へと手をのばしながら、こちらを見上げ「えぇぇ、ちょ、えぇぇ」と何ともいえない声をあげている。
それさえも、無視のイギリスさん。あなた、すごいっすよ。



「あ、えっと……大丈夫?です」
「そ、そうか。それならよかったんだが…って別にお前のこと心配したわけじゃないからな!フランスがあまりに気持ち悪いのに耐えられなかっただけっだからな!」



フランスさん、凄い言われようある。そして、イギリスさんのツンデレっぷりは今日も見事なものがある。
ツンデレの神か、あなたは。日本さんがこの場にいたとしたらそのツンデレっぷりに喜んでいたに違いない。
ある意味、この場に日本さんがいなくて良かったですね、とイギリスさんに言ってやりたい。


、どうかしたあるか?!」
さん?」


今の騒ぎを聞きつけてか、中国さんや日本さんやドイツさんまでこちらへと走りよっていた。中国さんは始めはイギリスさんのほうへと視線をやり「アヘンがまたっ!」と思いっきり眉間に皺をよせていたけれど、イギリスさんが事情を説明すると(あの……別に私セクハラ受けてたわけじゃないんですけど)(……でも、今更そんなこといえない……!フランスさん、ごめんなさい!)フランスさんのほうへと歩み寄っていった。
日本さんも、その後ろへと続きドイツさんまでその後に続く。


激しい音が聞こえてくるのが恐ろしくなり私はそっとフランスさんのほうから視線をそらした。
手の中にある飴玉を貰わなかったらよかったのか、いや、イギリスさんが人の話を聞いてくれればよかっただけの話だとは思うけれど。



「まぁ……なんにしてでもだ。一人であまり出歩くなよ」
「そ、うですね」



自分よりも他人にかなり迷惑をかけたような気がしてならないですから、という言葉は飲み込んでおく。激しい音が鳴り響く。その音のほうには絶対に視線をやらないようにして、私は心の中でフランスさんへと手をあわせていた。
さすがに日本さん達もフランスさんが死ぬまではぼこぼこにしないだろう。

音を聞く限り四分の三くらいまでは重症を負わせていようだと思わないこともないが。人を蹴る殴るしたときにあんな音がでるのだろうかと思うくらいの激しい音だ。恐すぎる。


「それにだなぁ!」と、いきなり大きな声をだした目の前のイギリスさんに驚いてイギリスさんを見上げた。イギリスさんは自分の首に片手をやりながら、フランスさんのほうへとやっていた視線を(よく見られるな…)ちらっとこちらへと向ける。



「お、俺が暇だったら一緒にいてやらないこともないからな!」



思っても見なかった一言に私は目を丸くする。ふいっとそらされた頬は僅かに赤い。あぁ、イギリスさん。最後まで見事なツンデレっぷりです。内心、これまた拍手喝采をしたい気持ちになりながらイギリスさんに「ありがとうございます」と微笑んでいた。



セクハラは犯罪です。



(って、撲殺も犯罪ですからぁぁ!)
(バレなきゃ大丈夫ある!)
(ばれなければ犯罪になりませんよ、さん)
(え、ちょ、二人とも良い笑顔すぎますって!!)
(……せめて、半殺しくらいまでにしておけ)
(ドイツさーん?!)




(2009・02・18)
若干、英贔屓のお話です。仏が可哀相なので仏好きな人には申し訳ない限りです。庭球や復活で言うところとの忍足や骸の扱いですね(良い笑顔)ではでは、リクエストありがとうございましたぁぁぁ!!(土下座

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